こんにちは。
ひいろ鍼灸院院長の日色です。
今日は多くの患者さんにみられる疾患である変形性膝関節症について書いていきたいと思います。
「膝が痛くてどうしようもないんだけど、これって鍼灸で治るの?」
「変形してるなら整体で骨の歪みを治した方が良いもの?」
「そんなに痛みはひどくないけどお医者さんに『年齢的に手術するなら今のうちだよ』と言われたからどうしよう…」
などなど、膝にまつわる色々な疑問を解決する糸口になれば幸いです。
変形性膝関節症について
変形性膝関節症の症状
男女比は1:4で女性に多くみられ、高齢者になるほど罹患率は高くなります。主な症状は膝の痛みと水がたまることです。
初期では立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時のみに痛み、休めば痛みがとれますが、正座や階段の昇降が困難となり(中期)、末期になると、安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、膝がピンと伸びず歩行が困難になります。(日本整形外科学会HPより)
多くの患者さんは初期症状として膝の痛み、膝の腫れ、膝の曲げにくさ、正座ができなくなったなどの症状を訴えます。
痛くなった足をかばって歩いていると逆の足も痛みはじめることもあります。
杖をついたり体を支えながら歩いていると肩も痛くなります。
多くの場合、最初に痛かった方の膝と反対の方が痛むことがあります。
四肢の不調が体幹にも波及し消化器、呼吸器などの問題も起きてきます。
原因と病態
原因は関節軟骨の老化によることが多く、肥満や素因(遺伝子)も関与しています。また骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として発症することがあります。
加齢によるものでは、関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、遣い過ぎによりすり減り、関節が変形します。(日本整形外科学会HPより)
西洋医学的治療
症状が軽い場合は痛み止めの内服薬や外用薬を使ったり、膝関節内にヒアルロン酸の注射などをします。また大腿四頭筋強化訓練、関節可動域改善訓練などの運動器リハビリテーションを行ったり、膝を温めたりする物理療法を行います。足底板や膝装具を作成することもあります。
このような治療でも治らない場合は手術治療も検討します。これには関節鏡(内視鏡)手術、高位脛骨骨切り術(骨を切って変形を矯正する)、人工膝関節置換術などがあります。
(日本整形外科学会HPより)
当院での考え方と治療
当院では構造、経絡、栄養の3つの視点から膝の痛みを捉えていきます。
膝単体で存在しているわけではなく全体のつながりの中の一部に膝が存在し、協調できなくなった結果、自己調整能力を失い、問題が起きていると考えます。
膝だけの治療をすることはほぼなく、全体観の中で問題を見つけ解決していきます。
構造的アプローチ
膝という関節は脛骨の上に大腿骨が乗り、その前側に筋肉により膝蓋骨(膝のお皿)がくっついています。
体の外側には腓骨という骨がついており膝を安定させ動きやすくする役割があります。
そして膝は前後のみ動ける関節です。
足をクネクネ動かしたり踊ったりしても実はほとんど股関節や足関節が動いてるだけで膝関節は左右には動けないのです。
前後左右の靭帯、筋肉のバランスがとれていることにより膝を安定させて体重を乗せることができます。
どれかのバランスが悪いと骨が引っ張られぶつかることにより炎症が起きます。
炎症が長引くことにより関節内が腫れ、結果として変形していきます。
骨棘という骨のトゲのようなものが作られてしまうこともあります。
膝周囲の筋肉は上は骨盤、下は足首より下から関節をまたいで付着しています。
また下半身の筋肉は腰椎から出てる神経がコントロールしています。
つまり変形性膝関節症など長い間膝で炎症が起き痛みが出るということは以下のことが考えられます。
- 腰から出てる神経の走っているどこかに問題が起きてる。
- 膝周囲の筋肉が弱ってたり強すぎたり協調できてない。
- 足首を捻挫したりしてて体重の乗り方が不自然になっている。
- 膝の関節自体が捻じれている。
- 膝の骨自体に外力が加わり問題が起きている。
古傷、筋膜などの癖を問診、触診で探し、構造上の問題を解決していきます。
何十年も前の捻挫や骨折の痕跡が悪影響を与えている場合もあります。
また弱化してる筋肉や緊張してる筋肉は内臓や分泌腺と大きく関係していることもあるので内臓の状態もみていきます。
構造物としての内臓、脈管、神経の軸や滑走性が膝の動きを損なう原因となることも多々あります。
どこでロックされ流れを止めているのかを検査、鑑別し治療することで患者さん自身の自然治癒力を出せるようにします。
運動療法、リハビリなども有効かもしれませんが構造が不安定な状態でするよりもまず先に治療をしてバランスをとってからやった方が効果的と言えます。
中医学的アプローチ
中医学では経絡と呼ばれる気の流れが全身を巡っており、それが循環することで気血が全身を栄養することで元気でいられると考えられています。
経絡は全部で陰陽6本ずつ、前後の軸が陰陽1本ずつの計14経絡あり、全て内臓と関連しています。
膝を通過している経絡は前側が胃、内側が肝・脾・腎、外側が胆、後側が膀胱となっています。
膝のどこが痛いか、お腹の固さ、圧痛点、脈など多角的に診て問題のある経絡を特定し、最終的に経穴(ツボ)を搾っていきます。
多くの患者さんは体形や足の甲の圧痛、拇趾近辺の固さで判断すると「消化器」が原因で膝を悪くしています。
膝の局所に鍼やお灸をすることもありますが根本的に問題を取り除くには手足末端にある消化器の反応点に治療を施すことが多いです。
経絡の流れを整えることで膝の痛みが軽減するのはもちろんのこと、お腹の圧痛や脈も変化します。
「この病気にはこの治療」というようなパターンを暗記しなくても経絡の流れが悪い部位が流れるようにすれば循環が治癒をもたらすのです。
ただ消化器の構造や経絡を整えたところで日頃の食べ物や習慣に問題があった場合それは穴の開いたバケツに一生懸命水を注いでいるようなものです。
そこで必要なのが栄養療法、食事療法の考え方です。
栄養療法・食事療法的アプローチ
当院では健康であるためにキーとなるのは食事7割、治療3割くらい食事や栄養を重要視しています。
特に膝の問題を抱える9割近くの患者さんは胃腸の問題を抱えています。
問診の時に普段食べるものを尋ねるのですがかなりアウトなものが多いです。
色々とお伝えしたいことがありますが、おそらくおひとりで実践するのは難しいと思うのでポイントを押さえてお伝えします。
食事について詳しい話はまたブログを書きますのでお楽しみに。
変形性膝関節症の人に伝えたい食事の彼是…
- 摂らない方が良いもの3つ
この3つを避けるだけで膝の痛みが良くなると共に心身に大きな変化が起きること間違いなしです。
膝に痛みがある方が絶対に摂っているもの。
それが小麦、乳製品、酸化した油の3つです。
・小麦
最近ではグルテンフリーという言葉も広く浸透し、知っている方も多いのではないかと思います。
小麦に含まれるグルテンというタンパク質が代謝される際に発生する物質が腸管の上皮細胞に隙間を作り出します。
腸管はタイトジャンクションと呼ばれる密になった分子構造を持ち、大きな分子や細菌が腸を通過して外に出ないようにしています。
小麦を食べることでタイトジャンクションが破壊され腸の外に通常では体内に取り込まれないはずのタンパク質、毒素、有害ミネラルが取り込まれてしまいます。
普通は血管内、細胞内に存在しない物質が存在すると免疫はそれらを異物とみなし抗体を産生します。
それにより体内で炎症が慢性化し、ボヤが起きてしまったような状態が長く続くようになります。
これをリーキーガット症候群と言います。
小麦を食べる回数いかがでしょうか?
朝パンを食べてるだけなので大丈夫です、という方たまにいらっしゃいますが症状がある方にとって毎朝パンは痛み起こすのには十分ですよ。
騙された思って2週間は小麦断ちしてみましょう。
痛み、むくみなどの不調が消えて相当すっきりします。
騙されたと思ってやってみましょう。
・乳製品
乳製品は体を冷やし時間差でアレルギーが現れる遅延型アレルギーの原因となる食物です。
乳製品に含まれるカゼインというタンパク質も未消化のまま腸に届き腸で炎症を起こし全身の慢性炎症、不調を起こします。
カゼインと共にリーキーガット症候群の原因とされる物質です。
カルシウムを摂取するために有効かと思われますが牛乳にはカルシウムが多く含まれマグネシウムがわずかしか入っておらず、吸収効率が落ちます。
カルシウムを吸収するためにはマグネシウムを摂取する必要があります。
カルシウム:マグネシウム=2:1がベストと言われています。
メリットデメリットを考えるのであれば痛みや不調などの症状がある人にはおすすめしません。
・酸化した油
ここで言う酸化した油とは主に揚げ物などを指します。
変形性膝関節症など膝に痛みを訴える方に何を食べるか聞くと揚げ物が好きなことが多いように感じます。
油は細胞膜を構成し、体内の炎症、抗炎症にも大きく関係します。
ここでは詳述しませんがサラダ油、マーガリンを避け、エキストラバージンオイル、亜麻仁油、えごま油を積極的に使うようにしましょう。
炎症を起こす油(オメガ6)を避けて、抗炎症作用のある油(オメガ3)を使うことで体内の炎症を抑えていきます。
オメガ6:オメガ3の比率は2:1が理想と言われていますが現代食の場合1:6~10ほど摂っている人がほとんどだと思います。
痛みの強い場合揚げ物を避けましょう。
(本当は砂糖も良くないのですが小麦と砂糖は一緒になっていることが多いので今回はこの3つを全力で避けてください・・・)
よく言われるレントゲンで骨が変形してるから痛いという話ですが、痛覚の存在する骨膜までの変形の場合は確かに痛みますが多くの場合膝の前側内側を痛いとの訴えがほとんどです。
痛みを感じる神経線維が多く存在する膝蓋下脂肪体と呼ばれる部位が膝には存在します。
この膝の脂肪組織は神経や血管が多く集まっており炎症が起きることで痛みが発生します。
上述した3種類の食べ物は脂肪組織での炎症を促進します。
体内の脂肪組織での慢性炎症を起こさないためにも痛みがある場合は絶対に食事を見直しましょう。
まとめ
以上、変形性膝関節症についての情報と当院での治療法をお伝えしましたがいかがだったでしょうか。
タイトルにある「整形外科か?鍼灸か?整体か?」というのの結論ですが、当院では鍼灸、整体をおすすめしています。
鍼灸の場合、筋肉だけ狙う局所のみの治療を行うのではなく、全体を診ることのできる鍼灸師の治療を受けることをおすすめします。
伝統派、古典派の先生の方が幅広い視点を持っていると思います(個人の意見です)
整体の場合、当院の考え方としては3年ほどの基礎医学を勉強しオステオパシー、カイロプラクティック、身体均整法、野口整体など古典的で歴史のある治療法がベースにある治療家の方が良いと思います(もちろんピンキリですけど)。
どんな治療でも局所だけ治療するのではなく全体を診る考え方があるかどうかが非常に大事です。
整形外科は事故や転倒などのケガで膝が腫れてまったく動けないなど緊急性の高い場合はすぐに行ってください。
それ以外の慢性病の場合、解決するケースをあまり見たことがありません。
変形がひどく手術が即必要な場合を除き、痛みが取れ、スムーズに歩けるようになることは多々あります。
また変形がひどい場合でも変形は変わらずとも痛みが引いて歩きやすくなり日常生活を送れるようになることもあります。
年齢、変形などもう不可逆的なことと諦めず一度治療をすることをおすすめします。
そしてこの記事に書いてあった「摂らない方が良い3つのもの」を何度も読んで実践してみてください。
嘘のように心身に変化が起きるはずです。
神奈川県、横須賀市、金沢区、追浜、六浦、湘南鷹取で変形性膝関節症、変形性膝関節炎で鍼灸、整体をお探しならひいろ鍼灸治療院にご相談ください。